パートタイム労働法の改正について

■パートタイム労働者の方々の公正な待遇を確保し、また、納得して働くことができるよう、パートタイム労働法が変わります。

 

【パートタイム労働法の概要】

 

1 労働条件の文書交付・説明義務
・労働基準法上の文書交付義務に加え、昇給、退職手当及び賞与の有無について、文書の交付等による明示を事業主に義務付け
(過料あり)(第6条)
・待遇の決定に当たって考慮した事項について、パートタイム労働者から求めがあった場合の説明を事業主に義務付け(第13条)
2 均等・均衡待遇の確保の促進
・全てのパートタイム労働者について、賃金の決定、教育訓練の実施及び福利厚生施設の利用に関し、多様な就業実態に応じて、
正社員と均衡のとれた待遇の確保に努めることを事業主に義務付け(第9条~第11条)
・特に、正社員と同視すべきパートタイム労働者について、差別的取扱いを禁止(第8条)
※「正社員と同視すべきパートタイム労働者」:職務の内容及び人材活用の仕組みが正社員と同じで、無期労働契約(反復更新に
より無期労働契約と同視できる有期労働契約を含む)を締結しているパートタイム労働者
3 通常の労働者への転換の推進
・正社員の募集を行う場合のパートタイム労働者への周知、新たに正社員を配置する場合のパートタイム労働者への応募の機会の
付与、正社員への転換のための試験制度等、正社員への転換を推進するための措置を事業主に義務付け(第12条)
4 苦情処理・紛争解決援助
・苦情の自主的な解決に努めるよう、事業主に義務付け(第19条)
・義務規定に関し、都道府県労働局長による紛争解決援助及び調停を整備(第20条~第24条)


 


パートタイム労働法改正のポイント(施行日は、平成27年4月1日です)

I 正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大

 正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者については、これまで、(1) 職務内容が正社員と同一、(2) 人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一、(3) 無期労働契約を締結しているパートタイム労働者であることとされていましたが、改正後は、(1)、(2) に該当すれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者も正社員と差別的取扱いが禁止されます。


II 「短時間労働者の待遇の原則」の新設

 事業主が、雇用するパートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとする、広く全ての短時間労働者を対象とした待遇の原則の規定が創設されます。
 改正後は、パートタイム労働者の待遇に関するこうした一般的な考え方も念頭に、パートタイム労働者の雇用管理の改善を図っていただくこととなります。


III パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設

 事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明しなければならないこととなります。


IV パートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備の義務の新設

事業主は、パートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととなります。


パートタイム労働者とは?

パートタイム労働法における「パートタイム労働者」は、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の

所定労働時間に比べて短い労働者」とされており、例えば、パート、アルバイト、臨時社員、準社員等、呼び方は異なっても、前述の条件

に当てはまる労働者は、パートタイム労働法における「パートタイム労働者」に該当します。

均等・均衡待遇の確保の促進

パートタイム労働法では、パートタイム労働者の待遇について、通常の労働者(いわゆる「正社員」)との働き方の違いに応じて、均等・

均衡を図るための措置を講ずるよう規定されています。


具体的には、「職務の内容(業務の内容及び責任の程度)」、「人材活用の仕組みや運用など(人事異動等の有無及び範囲)」、「契約

期間」の3つの要件を通常の労働者と比較することにより、賃金、教育訓練、福利厚生などの待遇について、下表の通り、事業主の講

ずべき措置として規定されています。