裁量労働制  企業は本質議論を求める

昨日の雨模様から今日は、週末からの気温から逆戻りになってきたようです。行きつ戻りつの三寒四温で少しずつ春を迎えていくような

感じがする日々ですね。

国会では、野村不動産の裁量労働制がらみの労災認定で益々、厚労省への資料問題への追及が厳しさを増してきていますので、今後、改めて

法案提出することが難しいような状況です。企業側は、裁量労働制の根本的な議論を求める声がより高まってきており、企業独自で先行した形

で工夫して取り入れを行っているところもあるようです。

 

 

【3月6日 日本経済新聞より】

政府が働き方改革関連法案から裁量労働制を削除したことに対し、企業からは働き方改革や生産性の向上について本質的な議論を求める声が相次いでいる。事業のグローバル化が進む中、社員の働き方は多様になっており、トヨタ自動車など企業は独自の制度を導入するなど生産性向上に向けて知恵を絞っている。長時間労働を抑制しつつ効率的な働き方を探る議論が望まれている。顧客サポートなど社員の6割に裁量労働制を適用する日本オラクル。時差のある米国本社との会議は深夜になりがちで、勤務時間よりも成果が問われる職種は多い。しかし、現行の制度では営業職などに裁量労働制を適用できない。同社の人事本部は「営業は成果ではかるべき職種」と強調する。担当者は「本質的な働き方改革の議論に行き着かなかったのは残念。生産性を高めなければ海外に仕事が流れてもおかしくない」と危機感を示す。新日鉄住金の進藤孝生社長は「管理職のように厳しい時間管理をされない仕事も存在する」と指摘する。「(法案から)裁量労働制が切り離されたことは残念だ。しっかりとした議論をしてほしい」と話す。

制度の制約がある中で、トヨタは昨年12月、裁量の幅を広げられる独自の制度を導入した。係長級約7800人のうち希望者には残業時間に関係なく毎月45時間分の手当に相当する17万円を固定で支給する。月45時間を超えればその分の残業代を支払うが「残業時間が短いほど従業員のメリットが大きくなる」(同社)。並行して長期連休の取得義務付けも強化した。SCSKは開発とコーポレートの約3400人に毎月34時間分の時間外手当を固定で支払う。残業時間が増減しても給与は変えず、残業を減らすほど社員が得をする仕組みだ。

労働政策研究・研修機構の調査では、裁量労働制の導入企業は従業員のやる気向上などを効果としてあげた。従業員側も「満足」「やや満足」の回答が7割程度だったが、労働時間の長さを不満点とする回答も多い。長時間労働の防止や健康への悪影響を防ぐ仕組みをどうつくるかが重要な課題となっている。